カストロさんが亡くなった。謹んで、心からの哀悼の意を表します。誠にいろんなことをお教えいただいてありがとうございました。
鎖国の回覧板でしかない新聞はじめ日本のマスコミでは、ドアホのトランプの「残忍な独裁者が死去した」という評価レベルと大差はないのだろう。イデオロギー的なあるいは政治的な立場の差とか、政治家としての資質の差とか、能力の差とかいうようなレベルではない。同じ地球という惑星に住んでいることすら信じがたいような、歴史的な差である。
20世紀最後の独裁者などという言葉を借りれば、歴史上最初で最後の革命家と言わねばならない。権力の座について権力をほしいままにしなかった稀代の、明らかに英雄である。
目の前の本棚から並べてみただけでもこんなにあった。人にあげたり貸したりした数を加えれば結構な数になる。その証拠に、この並びにも同じ本が二冊ある。沢山買った。
十数年前に、姪がどこか海外旅行に行きたいというから、キューバに行って来いと言ったら、本当に行ってくれた。観光旅行とはいえ、帰ってきて、「地球上の天国です」て、ゲバラのカレンダーと葉巻をくれた。もちろん香りを楽しんだだけで煙草は好きな人にあげてしまった。
ここから、フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスについて真剣に書けば、彼への暗殺未遂事件は600回を超えたが、それでも90歳まで生きた。何かの加護があって、間違いなくくだらなき政治や体制のレベルを超えていることがわかる。
そして写真を引用させていただいた書のタイトルのように、「思想は武器に勝る」ことを武器の勝利者にもかかわらず知っていた。皮相な民主主義という制度の選挙という戦いで政治を決めるのでもなく、殺傷能力の優秀さで戦争をして勝利するのでもなく、武器による革命的な勝利でもなく、選挙などによる政治的勝利でなく、真の革命=命を革めるという革命による人間的勝利は、別の戦い方、やり方があると言いたかったに違いない。民主主義の選挙も独裁者の武器戦争も突き詰めれば個人の利益のぶつかり合いに違いないからだ。
「敵もまた同じ神の子」と言ってのけたダライ・ラマに近い。
青臭く言えば、「思想は武器に勝る」というより、「愛は武器に勝る」のだろう。
では、どう人間革命の道を開くのか。たんとたんと書きすぎて、自分でも書き過ぎでゲップが出そう。酔狂な方はご笑覧を。
エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナが亡くなって半世紀。ようやく二人は再び出会って、互いが人類に残したあまりに素晴らしい成果を褒め合ってもいいだろう。
先般、肉好きの若者を肉の一切入っていないそれなりに高級な食事に誘った。食後に彼が言った。
「肉の味覚の範囲って、実に狭いものですね。こんなにも豊かな味があるのを知らないなんて損ですね」って言ってくれた。
鎖国回覧板の情報で食わず嫌いでいると、人間の可能性の狭い部分しか見えはしない。写真の中の一冊でも精読してくれれば、人間の可能性の大きなことを、喜びで教えられる。私がそうだったように。
最後の写真は、『チェ・ゲバラ=赤いキリスト』から拝借した。勝手に拝借しましたので、宣伝を。『フォト・ドキュメント ゲバラ―赤いキリスト伝説』原書房・アラン アマー (著) 広田 明子 (翻訳)、古書だと一円からある。一円は年末ジャンボ宝くじの10億円でも買えないものを教えてくれるに違いない。
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